第5回北海道バンドミュージックキャンプ(HBMC2017)開催報告

 今回で第5回目となる「北海道バンドミュージックキャンプ」が去る3月27日~29日の3日間にわたり、ホテルさっぽろ芸文館、ニトリ文化ホール、札幌市立啓明中学校を会場に開催されました。
 このキャンプは、当連盟理事長である井田重芳氏(東海大学付属札幌高校)の高校時代に体験し、その後、自身の将来に影響を及ぼしたとされる全日本サマー・ミュージック・キャンプ(於・群馬県榛名湖)に端を発し、将来、音楽文化を担うことができる青少年のリーダー育成を目的として平成25年より開始しました。
 5回目となった今回は、初日と2日目は「合奏講習」を主として行い、メインディレクターに保科洋氏(作曲家)、中村俊哉氏(バンドディレクター)、そして当連盟理事長の井田重芳氏も担当しました。2日目夜に「コンサート&研究発表」と題し、クラリネット奏者の中川知美氏(フリー)、サクソフォーン奏者の國末貞仁氏(洗足学園音楽大学講師)の独奏(いずれもピアノ伴奏は中谷友美氏)、そして札響金管五重奏団(Tp.福田善亮氏、Tp,佐藤誠氏、Hr,岩佐朋彦氏、Tb.山下友輔氏、Tub.玉木亮一氏)の皆さんによるコンサート、受講生合同バンド(指揮と解説は保科洋氏)による、2017年度吹奏楽コンクール課題曲のⅡとⅢの研究発表を行いました。最終日となる3日目は、札幌交響楽団他のプロ奏者による「各楽器別の実技講習会」を実施いたしました。
 募集定員は初回から120名としていますが、今回も北は稚内から南は函館まで、札幌から300㎞以上も離れている地方からの受講生も多く参加しました。パートによっては募集開始からわずか数日で定員に達し、全体でもほぼ1週間で定員に達するなど、回を追うごとにその募集期間が短縮されています。
 開会式に続き、このキャンプ最初の講座となる合奏講座パートⅠでは、A群・B群の2つのバンドにわかれ、中村先生、井田先生による各楽器の基本奏法とチューニング方法、ユニゾン・ハーモニー・スケールを活用した基礎合奏の実践方法などの指導が行われました。また、指導の中には演奏技術だけではなく、アンサンブルするために必要なコミュニケーションの重要性についてもお話される場面がありました。とくに今回はほとんどが初対面でのアンサンブルでした。その中で始めはバラバラだった音も、徐々にまとまりが出てくるなど、演奏技術だけでなく、コミュニケーションを大切にすることで音はより良く変わっていくことなども実感できたのではないでしょうか。
 そして、この日の夜は、保科先生の指導の下、受講生全員による合同バンドを対象にした合奏講座パートⅡです。題材には今年度の吹奏楽コンクール課題曲ⅡとⅢが選ばれました。作曲家としての楽曲分析と見事なバトンテクニックで受講生を導き、知らず知らずに引き上げられていく自分たちに、受講生は驚きを隠せない様子でした。とくに、課題曲Ⅲは保科先生自身による作品の「インテルメッツォ」。作曲者本人による演奏指導ということで、会場全体、独特の緊張感の中で始まりましたが、練習の冒頭で保科先生の「自分の曲やるのって嫌なんだよね。だって、何だか照れ臭くて…」とまさに照れ笑いしながらのことばによって、やわらかい緊張感の中で講習が進行しました。細かい講習内容についてはこの紙面ではお伝えしきれませんが、受講生はもちろん聴講されていた連盟加盟団体の先生方やわれわれスタッフにとっても贅沢で貴重な講習であったことはいうまでもありません。

期待感と不安感の入り交じる、独特の雰囲気の受付会場

まずはパートごとのコミュニケーションから

魅力的な響きとは!

井田理事長の合奏基礎講座!

中村俊哉先生の合奏基礎講座!

とても大切なコミュニケーションの場

保科先生登場!

みるみる変わっていくサウンド!

音楽の流儀とは…

 2日目の午前中は、合奏講座パートⅢとして、前日のパートⅠに引き続き、中村・井田両先生によるA・B群にわかれての講座。時間いっぱいまで熱心な練習が展開されました。
 午後からは、会場をニトリ文化ホールに移し、合奏講座パートⅣ(合同バンド)。主として保科先生にご指導いただきました。前夜にも増して、より細かく、より深く、そして保科先生の持つ、音楽の流儀までを余すところなくご教授いただきました。
 この日の夜は、同じくニトリ文化ホールを会場に開催された「コンサート&研究発表」。前記のような豪華メンバーによる演奏はまさに圧巻。プロの演奏を間近に聴くことができる幸せを受講生ともども実感いたしました。そして、このキャンプの集大成となる、受講生全員による合同バンドの研究発表。保科先生の楽曲解説と指揮のもと、出会って2日しか経っていないもの同士の演奏とは思えない、一体感のあるサウンドと、保科先生の指揮から導かれる、その音楽感と世界観がホールいっぱいに響き渡りました。受講生やわれわれスタッフにとってはもちろん、関係者への公開となったこのコンサートの来場者にとっても、心に深く感動を覚えた素晴らしい時間になりました。

合奏基礎講座パートⅢ

夜の本番に向けてよりよい音楽を!

ホールでの保科先生の講座!

保科先生によるホールリハーサル

夜の本番に向けて最終調整!

クラリネット奏者中川知美氏

國末貞仁氏とピアノの中谷友美氏!

札響金管五重奏団!

保科先生によるレクチャー

保科ワールド炸裂!圧巻の響き!

名曲!インテルメッツォ

参加者全員による集合写真!

 最終日となる3日目は、会場を札幌市立啓明中学校に移し、楽器別の実技講習会を行いました。この講座の講師には札幌交響楽団員をはじめ、前日に素晴らしい演奏を披露してくださった、サクソフォーン奏者の國末貞仁氏、ユーフォニアム奏者の大山智氏、打楽器は昭和音楽大学教授の石内聡明氏など、豪華な講師陣で実施することができました。専門家から指導を受ける機会が少ない受講生にとっては、最終日の疲れも見せず生き生きと受講しておりました。

パーカッション、石内聡明先生!

サックス、國末貞仁先生!

ホルン、岩佐朋彦先生!

トロンボーン、野口隆信先生!

ユーフォニアム、大山智先生!

パーカッション、斎藤正樹先生!

 今回で節目の5回目を終えた「バンド・ミュージック・キャンプ」ですが、また、今回の参加者も、指導に応える演奏力、生活態度、初めて出会う仲間との交流のどれをとっても高い意欲が感じられ、このキャンプに参加する目的を十分把握して積極的に受講していました。前述したアンケート結果や聴講された指導者の声からも、このキャンプが道内の高校生に浸透し、定着されつつあることを実感するこのキャンプは、なくてはならないイベントとなっております。このキャンプが1回目の時、今回参加した高校生はまだ小学生、1回目に受講した高校生は、今では大学生や社会人として何らかの形で音楽や吹奏楽に携わっていることと思います。そして、最も多感な高校生という年代で、このキャンプに参加することは大変有意義なことです。今後も当連盟では、この未来の若者たちのためにさらなる充実を目指したキャンプの実施、そして、吹奏楽をとおした北海道の音楽文化の発展と向上にどのように関わっていけるかという大きな課題に向かって諸活動を続けていく所存です。
 最後になりますが、このキャンプの開催にあたっては、様々な条件が揃って初めて叶う催し物です。今回も希望どおり開催できましたのも講師の皆様やニトリ文化ホール、さっぽろ芸文館、札幌市立啓明中学校はじめ関係機関のご協力あってのことと感謝しております。

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