第3回北海道バンドミュージックキャンプ(HBMC2015)開催報告

 今回で第3回目となる「北海道バンドミュージックキャンプ」は去る5月2日~4日の3日間にわたり、ホテルさっぽろ芸文館、ニトリ文化ホール、市立札幌大通高校を会場に開催されました。
 このキャンプは、当連盟理事長である井田重芳氏(東海大学付属第四高校)の高校時代に体験し、その後、自身の将来に影響を及ぼしたとされる全日本サマー・ミュージック・キャンプ(於・群馬県榛名湖)に端を発し、将来、音楽文化を担うことができる青少年のリーダー育成を目的として平成25年より開始しました。
 3回目となった今回、特筆すべきことは、当連盟創立60周年を記念し、スペシャルコンサートを企画したことです。出演者にはピアニストの中谷友美氏、オーボエ奏者の金子亜未氏(札幌交響楽団)、サクソフォーン奏者の田中靖人氏(東京佼成WO)、そして札響金管五重奏団(tp福田善亮氏、tp佐藤誠氏、hr岩佐朋彦氏、tb田中徹氏、bs.tb野口隆信氏)の皆さんに演奏を依頼しました。
 また、合奏指導ではメインディレクターに保科洋氏(作曲家)、中村俊哉氏(バンドディレクター)を、各楽器別実技講座に札幌交響楽団他のプロ奏者を迎えました。そして、合奏基礎講座は当連盟理事長の井田重芳氏も担当いたしました。
 定員は前回に引き続き120名として募集しましたが、その中には稚内、網走、釧路、函館等、札幌から300㎞以上も離れている地方からの参加者も恒例となりました。

 このキャンプ最初の講座となる1日目の午後からの合奏基礎講座・楽曲講習パートⅠでは、A群・B群の2つのバンドにわかれ、中村先生、井田先生による各楽器の基本奏法とチューニング方法、ユニゾン・ハーモニー・スケールを活用した基礎合奏の実践方法などを含めた合理的にシステム化された合奏法に、受講生は皆食い入るような真剣な眼差しで受講しているのがとても印象的でした。
 そして、この日の夜は、いよいよ保科先生の登場。受講生全員による合同バンドを対象にした、合奏基礎講座・楽曲講習パートⅡ。題材に選んだ今年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱと、R・ワーグナー作曲(保科洋編曲)「エルザの大聖堂への行列」を独特な楽曲分析と見事なバトンテクニックで受講生を導き、知らず知らずに引き上げられていく自分に受講生は驚きを隠せない面持ちでおりました。

今年も始まりはここから…北海道各地から120名の高校生が集結!

みるみる変わるサウンド!

中村先生の合奏基礎講座!

井田理事長の合奏基礎講座!

幅のある響きで!

ハードスケジュールには食が大事

保科先生登場!

総勢120名による合同バンド!

音楽の流儀とは…

 2日目の午前中は、合奏基礎講座・楽曲講習パートⅢとして、前日のパートⅠに引き続き、中村・井田両先生によるA・B群にわかれての講座。前夜の保科先生による講座のおさらいも含め、時間いっぱいまで熱心な練習が展開されました。
 午後からは、会場をニトリ文化ホールに移し、合奏基礎講座・楽曲講習パートⅣ(合同バンド)。はじめに中村先生による奏法チェックとチューニングのあと、保科先生にご指導いただきました。前夜にも増して、より細かく、より深く、そして保科先生の持つ、音楽の流儀までを余すところなくご教授いただきました。
 夜は、北海道吹奏楽連盟創立60周年記念「スペシャルコンサート」。前記のような豪華メンバーによる演奏はまさに圧巻。日本国内のみならず、世界で活躍する、プレイヤーがこれだけ一堂に会する演奏会を間近に聴くことができる幸せを実感しました。
 そして、このキャンプの集大成となる、受講生全員による合同バンドの成果発表演奏。保科先生の指揮のもと、出会って2日しか経っていないものどおしの演奏とは思えない、一体感のあるサウンドと、保科先生の指揮から導かれる、その音楽感と世界観がホールいっぱいに響き渡りました。受講生やわれわれスタッフにとってはもちろん、関係者への公開となったこのコンサートの来場者にとっても、心に深く感動を覚えた素晴らしい時間になったのは言うまでもありません。

合奏基礎講座パートⅢ

声と身体で音楽を表現!

ホールで保科先生の合奏講座

夜の本番に向けて最終調整!

中谷友美氏!

金子亜未氏!

田中靖人氏!

札響金管五重奏団!

受講生もステージで体感!

保科ワールド炸裂!圧巻の響き!

合奏講師集合!

参加者全員による集合写真!

 最終日となる3日目は、会場を隣接する大通高校に移し、楽器別実技講習を行いました。この講座には講師に札幌交響楽団員をはじめ、東京佼成WOの田中靖人氏(Sax)やシエナWOの庄司恵子氏(Euph)等、豪華な講師陣で実施することができました。専門家から指導を受ける機会が少ない地方からの受講生にとっては、最終日の疲れも見せず生き生きと受講しておりました。

オーボエ、金子亜未先生!

クラリネット、三瓶佳紀先生!

サクソフォン、田中靖人先生!

ホルン、橋本敦先生!

トロンボーン、山下友輔先生!

ユーフォニアム、庄司恵子先生!

 今回の参加者は、指導に応える演奏力、生活態度、初めて出会う仲間との交流等をとっても今までの中で一番意欲が高く感じられ、このキャンプに参加する目的を十分把握して積極的に受講していることを強く感じさせられました。このことからも、このキャンプが徐々に道内の高校生に浸透し、認知されていることを実感することができました。
 当連盟では、参加料の倍以上の金額を連盟で負担しておりますが、前述のように全道の高校生がためになると実感するこのキャンプは、なくてはならないイベントとなっております。しかし、開催にあたっては様々な問題も多く、例えば3つの会場を用意できる日であること、多くの札幌交響楽団員や講師にご協力いただける日であること、そしてメインディレクターの予定等、様々な条件が揃って初めて叶う催し物です。今回も希望どおり開催できましたのも講師の皆様や関係機関のご協力あってのことと感謝しております。
 これからも、このキャンプは未来の若者のために続けていく所存ですので今後もどうか見守っていただければ幸いです。

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