作曲者から作品に対するエッセイ、および、曲の特徴・解説等
マーチ「ベスト・フレンド」
作曲者 松浦伸吾
驚きました。まさか入選するとは……!本当に嬉しいことです。何が嬉しいかというと、 僕の曲がさまざまな地域で一斉に演奏されること。来年、語句はいったいいくつの「ベス ト・フレンド」に出会うことができるのか!今から心が高鳴ります。 僕は中学校から吹奏楽を始めました。しかし管楽器(サクソフォン)を吹き出したのはそ の2年前、小学校5年生の時です。確か、とあるジャズサクソフォンプレイヤーに魅せられ て親に楽器をねだり、買ってもらったことを覚えています。そのときの喜びようといったら、 まさに「天にも昇る」気持ちでした。その時から「水を得た魚」のように練習に打ち込み、 好きな曲を耳コピーで吹いていました。ちなみにそのころは吹奏楽を知りませんでした。 中学校で吹奏楽部に入部しました。サクソフォンが吹けたらいい、そう思っていましたが ……そこでの合奏の楽しさと言ったら!当時の顧問は比較的激しい、熱い曲を選曲する ことが多く、最後の力強いフィニッシュに向けて指揮を振る顧問と部員全員が全力疾走。 何度か静かな曲も演奏しましたが、その時はみんなで心を静めて雰囲気を作り出す。そ れぞれ、いろんな個性を持つ仲間が集まり、心を束ねて一つの音楽を作り上げる。演奏 技術云々よりも、音楽を共有し、演奏する喜びを分かち合うこと、”仲間”という存在の大 切さを知りました。これは現在の僕の音楽生活の中で最も大きな位置を占めています。そ の後、高校でも吹奏楽を続け、大学では作曲を専攻しつつも吹奏楽曲を書いたり、団 体の中で楽器を吹いたり、と、吹奏楽との関係を続けています。 「ベスト・フレンド」は、こういった僕の吹奏楽での実り深い経験から名づけました。中学、 高校、大学、またはどういった団体でも、初心者でも、そうでなくても、そこで出会った 仲間とのコミュニケーションを大切にしてほしい。そして最高の音楽を作り上げ、共に感動 を味わった仲間が生涯かけがえの無い最高の友達であってほしいです。 |
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【略歴と主な作品】
松浦 伸吾 まつうら・しんご 1979年京都府生まれ。
大阪府立池田高等学校卒業。その後、大阪音楽大学音楽学部作曲学科に進み、
作曲を近藤圭、作曲とピアノを久保洋子、サクソフォンを篠原康浩、室内楽をY,P.アルトー、
C.エルフェ、D.ヴィダルの各氏に師事。現在、大阪音楽大学大学院音楽研究科作曲専攻1年。
主な作品:吹奏楽のための「日本海」、さくそふぉん四重奏のための「幼子の記憶」、ヴァイオリンと
オーケストラのための「裸像」、内アンサンブルのための「NERTWORK"Hippocampus"」